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残飯ガール

第5章 もう食べられません


「あー、あーやの弁当ね」

「お前いつも一口しか食わねーから、綾めちゃくちゃ凹んでるんだぞ。なんで食べてやらないんだよ」

「だって、あーやの弁当まずいんだもん」

「!」


まさかのまずい発言に、あたしは目をパチクリさせた。



「そうか? いつも食べてるけど、普通にうまいぞ?」


あっ……

もしかしてあのお弁当……



「恭也は鈍感だからねー。見た目は綺麗だけど中身がない。てかさぁ、恭也知ってた? あーやは子ブタちゃんに意地悪したんだよ」

「……えっ?」


久我くんが驚く。

続いてあたしも驚く。



「唐揚げの大皿持ってきたの、あーやだから。たぶん、恭也が子ブタちゃんを誘ったの気にくわなかったんだろうね」

「……っ……」



もしかして……って思った。

顔は笑っていたけど、けっこう強引だったから……。



「子ブタちゃん、一人で頑張って食べて可哀想って思ったんだよね。だから食べるの手伝ってあげたんだ」

「……っ……」


久我くんはその事実にショックを隠せないようだった。



「まぁ、あーやだけに限らず、女の子はそういうところあるよね~」



瀬戸くんの観察力にあたしは驚きとともに感心した。



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