
誰かお願いつかまえて
第6章 ペットでもいいから
「――あらぁ、本当に川端くんが来たのねぇ」
応接室の正面に座っているのは、艶っぽさが感じられる女性―咲坂さんだ。
「ご指名と伺ったものですから」
「まぁ、嬉しいわ!じゃ、本題に入りましょ♪」
俺の営業スマイルをものともせずに、仕事の話が始められた。
「――そんなところかしらねぇ…
とりあえず、社長に話を通しておくわ」
「ありがとうございます」
俺が資料を片づけていると、俺の手に彼女の手が重ねられる。
「……咲坂さん?」
仕事だってのに…
俺はやんわりと手をどかした。
「んもう!つれないわねぇ!」
そう言って頬を膨らませていたが、しばらくするとポツン、と口にした。
「幸村さん、何かあったわねぇ…」
!
なんで、分かるんだ……!?
