
誰かお願いつかまえて
第6章 ペットでもいいから
『―川端!』
「!?なんだよ?」
いきなり肩を叩かれる。
『だって呼んでも返事しないし、怖い顔してるから…』
怖い顔、って元からこんななんだよ!
「怖い顔で悪かったな」
『そういうことじゃなくて!……もう。
クッキーとチョコレート、ありがとね』
食べてくれたのか…
『それで、突然なんだけど午後外出られる?』
「どこ?」
『咲坂(サキサカ)様、のところ……』
あぁ、あの化粧品会社の。あの人、幸村のこと嫌ってるからな……
「分かった。俺が行くって連絡しといて」
そう言うと、幸村は携帯を片手に去っていった。
咲坂さんはその会社を有名にした実力者だが、幸村のことは受け入れてくれない。
幸村が女らしくない、とかが理由みたいだったが、
それを口実に俺や岡崎さんにやたらくっついてきたり、アイツに暴言を吐くのはやめて欲しい……
厄介な客だけど権力を持つ客でもある。
俺はいつもより気合を入れて会社を出た。
