
誰かお願いつかまえて
第7章 家庭崩壊……?
呼ばれて振り向くと化粧室の入口のところに女性が立っている。
それは―
『由香梨(ユカリ)!?』
「やっぱり波香だ」
笑いながら近づいてきたのは私の同期、柏木(カシワギ)由香梨だった。
(でも、なんで…?)
由香梨は仲の良い同期だけど、海外事業部に所属していて今はイタリアで仕事のはず……
『帰ってきたの!?』
「ちょっと日本に用があってね……
それよりあんた顔……」
うっ!やっぱりひどかったかな…
俯いた私にため息をつく由香梨。
「……あんたが泣くなんて、珍しいじゃん
何があったの?」
女性にしては低めの声と背中に当てられた手が心地よかった。
私は由香梨に連れられて化粧室を出た。
