誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
「ほら、拗ねるなよ、川端」
岡崎さんも笑いながら川端の背中をぽん、と叩く。
「……悔しい」
ボソッと呟いた川端を無視して次のフォルダを開くユズ。
「こっちが岡崎さんシリーズ!」
(岡崎さんの方がモデルさんと写ってるの多い…
私、隣に並ぶには背が低すぎるな…)
順に見ていくと、探していた何かを見つけたような表情の岡崎さんの写真が目についた。
(これ…彼女を見つけたような感じかな?
優しい顔してるなぁ…)
ほかの写真も素敵で。
素敵すぎて別次元の人なんじゃないかと思ったり。
「岡崎さん、俺より枚数多くないですか?」
「ペットの犬よりお父さんの方が多くて当然だろう?」
「ちょっと!なにそれ!!笑」
3人で盛り上がっている中、私はただただ写真が気になっていた。
(そうだよ……岡崎さん、彼女いるからこういう顔できるじゃない?
…でも、彼女がいるなら…)
気にしないように記憶の隅に押しやった、1ヶ月前の出来事が頭を過ぎる。
繰り返し押し当てられた、熱く柔らかい唇。
「…ねぇ、ナミはどう思う?」
『え?』
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