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誰かお願いつかまえて

第9章 女たちの戦い




――幸村の表情が印象的すぎて、あまりよく覚えていないけど、あの後は柚原さんが幸村にスーツをプレゼントして
そこに柚原さんの部下も現れて女3人で盛り上がっていた気がする。


今は帰りの車の中。後部座席に幸村と並んで座って、いつもならからかったりするけど今日はそんな気になれなかった。


外を見ながらぼーっとしていた。


『……た?』


もう幸村の心の中じゃ、岡崎さんって決まってるのか…?
いや、だったら助手席すすめられたときにそっち乗るはず!
でもコイツ遊園地デートしたらしいし、その時はきっと助手席だったはず。…思い出してドキドキしちゃうから後ろ、とか?
俺の隣なら緊張しないから、とか?
いや、でも――――


『川端!どうしたの?!』


想像の世界から戻された俺の目の前には、ちょっと頬をふくらませた幸村。
左肩に手まで置いてお前………

上目遣いすんなっ/////


我慢できなくて、もう一方の腕でそのまま抱きしめた。
ビクッと身体をこわばらせたけど、気にしない。


『―っ!ちょ、川端!?』

俺の隣にある顔から熱を感じる。…赤くなってんのか?

「悪い、ちょっと人肌恋しくて」

唐突に苦しすぎる言い訳だと思う。でも前回コイツが使った理由だから納得してくれるかな、なんて。





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