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先生…お願い。早く治して・・・

第8章 目覚め

先生は私が落ち着くまで、そばにいてくれた。そのうち薬も効き始め、幾分具合も良くなってきた。


「どお? 落ち着いたかな?」


『うん』


「綾ちゃん…。今日はケンタ君を助けてくれてありがとう。お母さんからも、‘本当にありがとう'って
伝えて欲しいと言われたよ」



『ケンタ君は大丈夫だったの?』



「あぁ、擦り傷ですんだよ」


『良かった〜。あっ、、先生??一つ聞いてもいいですか?』


「 ん? なんだい?」

『あの時、どうして私の名前…、分かったんですか?』

「あの時?」

『…怪我した時、私の名前呼んだから…』

「あぁ〜、あれはあの時、宮田が"お嬢様‼︎"って叫んでたからだよ」

『 ……宮田の事知ってるんですか?』


「もちろん!私が進美外科を立ち上げる際、君のお父さんには沢山協力をしてもらった。そんな進堂先輩の側にはいつも宮田がいたからね。
それに、宮田はうちの病院で働いていた事もあったしね。
けっこう腕も良かったし、あの見た目。あのまま働いていたら、間違いなく進美の人気医師になってたと思うよ。」



『って事は……先生、、石川先生?』


「あっ、ごめんね!そういえば、自己紹介もしてなかったね。一方的に君の事知ってたから…。ごめん…。それと、 これからは私が君の担当医になるから、何でも相談してっ」

ニコっと微笑んだ後、突然、

「あっ?!!」

何かを思い出した様に廊下へと出て行った


『…???ん??』

と思っていると、先生は廊下でずっと待っていた宮田を連れて来た。

“お嬢様〜、大丈夫ですか?痛くはないですか?”


『うん……。宮田……ごめんなさい。』


“エッ?”


『私、宮田のジャケット壊しちゃった…。』


“…っ…、お嬢様っ……?!”


こんな時に私のジャケットの事を?

宮田は大きく首を振った。


“ジャケットなんて、いいんです…

私の方こそ、

あの時、病院に行こうと言わなかったら……

あの時、1人にしなければ……

それを思うと…”



『宮田のせいじゃないよ!だから悩まないで!それに、あの時私がいなかったら、あの子、車に引かれてたかもしれないし。。そうでしょ?』


「お嬢様〜…。はい。励ますはずの私が逆に励まされてる。執事失格ですね」と笑って見せた。


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