テキストサイズ

先生…お願い。早く治して・・・

第11章 ピュアな心

ICUの外では、時折聞こえてくるお嬢様の泣き声に、心配と付いていてやれない苛立ちに格闘する宮田がいた。

じっと座っている事さえ出来ず、扉の前を行ったり来たり




こんな泣いてるじゃないか…

この扉の向こうにはお嬢様が…

抱きしめてあげたい…

何度扉を開けようかと思ったか…





“任せてくれ”
今は先生の言葉を信じるしかなかった…







しばらくすると、ようやくその扉は開いた。



そこには自分の足でしっかりと立つ綾がいた。



「お嬢様!!」宮田はとっさに駆け寄った。


綾は真っ赤に腫らした目で、宮田を見上げた。


宮田は大きなその手で綾の頬に手を添えると、涙の跡を優しく拭う。


「……お嬢様……よく、頑張りましたね。」


そう語りかける宮田の目はとても優しかった。




宮田の顔を見て安心したのか、泣き止んだその目尻にはまた涙が溜まっていた。


『………早く家、帰りたいよぉ……。』



宮田はニコっと微笑み
「そうですね。」と笑顔で答えた。





そんな二人のやり取りを後ろで見ていた石川は
綾の肩に手を乗せると
「じゃぁ〜、行こうか」と微笑んだ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ