テキストサイズ

先生…お願い。早く治して・・・

第17章 お願い側にいて

夕方になり、綾は一人ベットの中で、痛みを増す体と初めての治療に恐怖心を感じていた。



「お嬢様?大丈夫ですか?痛みますか?」宮田は声をかけた


『えっ??!うん…大丈夫だよ。』

咄嗟に笑顔で答えた。



宮田は違和感を感じた。


小さい時からずっとお側に仕えていれば、これくらいの嘘は直ぐに分かる。


「そうですか……痛い時はちゃんと、おっしゃって下さいね」



綾が『うん』と返そうと思った瞬間、



プルルルル…プルルルル…

お部屋の電話が鳴った。

「はい」


受付ロビーから、お嬢様のお友達がお見舞いに来ているという電話だった。


「そうですか。分かりました。」

そう言うと宮田は電話を切った。




「お嬢様、お友達の智子さん達がお見舞いにいらした様です」


『本当??』

そう答える綾は痛みも忘れ、嬉しそうだった。
そんな綾を見て宮田もニコっと微笑んだ。



「私は、お飲み物でも買って参ります」

『うん。お願い。』


宮田は一人部屋を出た。

途中、院長の専属の看護婦とすれ違った。


「あの…、石川先生は今、診察中ですか?」

“先生なら、朝から学会に出席しておりますが、夕方からの診察もあるのでもう間もなく戻ると思いますよ。”

「そうですか…。」

“何か、お伝えする事があれば、お伝えしますよ?”


「本人は大丈夫と言ってはいるんですが、昨日よりもお腹を痛そうにしているので…。先生に、夜に治療の予定は組んで頂いてますが、伝えておいた方が良いかと思いまして。」

看護婦は、
“そうですね。間違いなくお伝えしておきます。”


そういうと、一礼した。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ