テキストサイズ

Transcribe the Imagination

第13章 *Sleet ball

「は、初めまして」

今日、美形の転校生がやってきた。

「大野智、といいます…よろしくお願いします」

第一印象は、
ビクビクした小心者で……モテそ。

うちの女子はメンクイだから、休み時間になったら直ぐに女子が群がるんだろうな。

漫画にあるような質問攻めってやつ?

うわぁ、大野も厄介だな。
しかも、隣が空席ってことは隣は大野だろ?

黄色い歓声なんて聞きたくねえ。
勝手にモテてやがれ。
でも、見えねえとこでやれ。

「櫻井、よろしくな」
「へいへい」

小動物みたいにとてとて歩く大野が、
隣にストンと座った。

「あの…お願いね」
「あー、よろしく」

目すらも合わせないで、
関わらないようにしてた。

……けど、そういう訳にもいかなくて。

机をくっつけて、教科書をシェア。

「しょー」
「何」

いつの間に名前を知ったのか、
距離を詰めようと名前で呼んできた。

「コレ、何?」

教科書の隅のラクガキが見つかった。

「ああ?牛だよ、見てわかんだろ」
「え、牛なの?ふ、ふふっ」

クスクス笑いだしたから、
バカにされたような嫌な気持ちになった。

「大野、書いてみろよ」
「ふふ、初めて名前で呼んでくれたね」

微笑みかけられて、変な気になりそう。
美形だからね。

「はあ?そんなんで喜んでたら身が持たねえぞ」
「ふふ、そうだね」

サラサラーとシャーペンで
俺の牛の横に牛を描いていた。

「しょー、コレ牛」
「大野……うま過ぎだろ」

写真かと錯覚しちまったぜ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ