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Transcribe the Imagination

第2章 *Mirage

たまに屋上にキーボードを持ち込んで、
空に聴かせるみたいに弾く。

「今日は空が碧いなあ」

俺には楽譜がない。全て創作音楽。
一回弾いた曲は二度と弾けない。

いつも空をイメージして弾いてる。

こんなに碧い空は見たことなくて、
今日のイメージは『碧』に決定。

――――――

気持ちよく弾き終える。

「すっごいね!」
「え?」

声がした方に目を向けると、
見たことない人がキラキラした目で見てた。

「ピアノ、好きなの?習ってるの?」

段々俺に近付いて問い掛けてくる。

「いやいや、てかいつの間に!」
「俺も弾いていい?」
「は?弾けんの?」
「ううん、全く弾けないよ♪」

そう言ってポロンと鍵盤が音を立てた。

「おお!やっぱイイ音!」
「そう?」
「うん!でも俺より君の方がこのキーボードは喜んで楽しそうに音を出すね♪」

「え?」

「あれ?変なこと言ったかな?」
「あ、ううん。別に」

こんな感性持ってる人と初めて出逢った。
キーボードが喜ぶなんて考えたことなかった。

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