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Transcribe the Imagination

第5章 *Summer festival

嬉しかった。
潤がまだ俺を好きでいてくれて。

え?俺、何で喜んでるの?

「雅紀、溶けちゃうよ」
「え、あ、ホ、ホントだ」

俺のカキ氷は
もうシャクシャクとは音を立てなかった。

「あ、そろそろ花火始まるね」
「そ、そそうだね」

俺、潤と二人きり。
今、二人きり。

なうだよ。なう。

「雅紀の好きな下に垂れる花火あるだろ?」
「あ、柳?」

カキ氷がすでに無くなったのか、
容器はベンチに置かれていた。

「あれ、本当は柳じゃないんだよ」
「え、そうなの!?」

つい身を乗り出してしまった。

「あ、雅紀の舌緑色」
「え?潤も真っ青じゃん!」

潤に舌を出してもらい確認する。

「ねえ潤、青と緑って混ぜると何色かな?」
「え?」

変なことを言ってるのはわかってる。

「ね……混ぜてみない?」
「雅紀…わかって言ってる?」

コクリと頷くと、潤の顔が近づいてきた。

唇が重なる寸前に潤が呟いた。

「好き」

同時に花火が上がったから
聞こえなかったことにしておこ♡

━END━

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