1人じゃなくて。
第6章 No.6
───バンッ──
「伊織……てめぇ何先に飯食ってんだよ…」
扉が壊れそうなくらい、勢いよく開く。
そこには、鬼の形相をした要がいた。
「遅かったね、要。ちょうど今奈瑠ちゃんと仲良くなって…」
「うるせぇ!!!!ちょこまか走り周りやがって!手ぇ出してねぇだろうな!?あぁ!!?」
「…………えへっ」
「くっそこの野郎!!表出ろ!」
ギャーギャー
「……要さん…」
唖然とした。
あんなに穏やかな要が、血管が切れそうな程怒っている。
伊織に飛びかかり、綺麗な金色の髪を掴もうとしているが……
その手には届かず、満面の笑みの伊織に全て交わされていた。
あれは……
止めた方が良いよね…
「シロさん…あれ…」
「あぁ、いいよ。ほっといて。いつもの事だし」
一つも表情を崩すことなく、シロはデザートを食べていた。
あ…いいんだ………
自分が入ってもどうにもならないだろうと、
奈瑠もまたデザートを頬張った。