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彩夏 ~君がいたから、あの夏は輝いていた~

第1章 友達でいたいのに

『9回裏フルカウント満塁、1点を追う桐原学院は3番河野。逆転の可能性を捨てていません』

『一方、このまま逃げ切れば初の甲子園出場、市高のエース渡辺。背番号1を背負って投げた白球は792球。地方大会最後の一球になるか』

『渡辺は1回戦から今日まで、全7試合を甲斐とバッテリーを組んできました。792球を受け止めてきたのもまた、この甲斐です』

『半年間の対外試合禁止処分を経験し、チームはより強く結束した、と話していました、キャプテンの甲斐広明』

イチコウ、の声援に混じって聞こえる、
ワタナベ、ワタナベという声。
手を伸ばせば、そこに。
誰もが、信じたあの夏。

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