テキストサイズ

18

第1章 7月20日

いつになく暑いこの都会の日差しがアスファルトを照らしている。特に訳もなく渋谷駅を降りた勝吉は目の前にしたたくさんの人をみた。急ぎながら走るサラリーマン、イヤホンを片耳につけながら歩く高校生 自分の国とは異なった風景に驚きそしてカメラをきる外国人。この人たちにはそれぞれ予定があるのだろうかはたまた自分のようになにも訳もなくここ渋谷という地を、歩いているのだろうか 疑問を心に抱きつつ勝吉はセンター街へと向かった。
他人の自分に注ぐ目線に少し怯えながら 特に訳もなくセンター街を歩いていていると、カラオケ屋の前でたむろしている高校生がいた。この高校生達も夏休みというのを自分よりは楽しんでいるのかとおもいながらその高校生達を見つめていた。しかし何か目をつけられてはたまったものではない。絡まれたらそれはそれで面倒なことなる。勝吉は、高校生たちを見るのをやめまた歩きだした。 すると
「おい、今あいつ俺らのこと見てなかったか?」
そんな声が聞こえた。まずい、これからどうするべきなのかここからまっすぐ歩けば大通りにでる。そこでうまくまけるか。いやしかし自分の子の脚力であの高校生達をふりきれるか 無理だそんなことはどうしよう、そう思っていた矢先肩をポンド叩かれた。今振り向いたらそこで殴られるかもしれない。いやどこか脇道に連れていかれるのか。
そんなことを思い恐る恐る振り向くとそのにはやはりあの高校生がたっていた。自分の方を叩いた男はいかにもそこのリーダー格のような自分とは正反対の体のようないかつい体型をしていた。 男は
「お前さここ詳しいか」
意外な言葉だった。続けて
「俺ら夏の最後にと思って関西の方から遊びに来たんよ。それで何もわからないから案内してくれへんか」
そうか。良かった、今日の自分はついてるかもしれない。おかげで殴られる不安からも開放されおまけに予定もできた。そんな嬉しい気持ちを閉じ込めながら勝吉は自分の持てる範囲の知識で渋谷を案内した。
そんなこんなで、日は傾き始め勝吉は、そろそろ自分は帰らなくてはいけないそう告げて高校生達と別れようとした。その時またリーダー格のような男が
「連絡先教えてくれへん?」
と自分に言ってきた。そんな事言われたこともなかったので快く連絡先を交換した。あの時あの場所で高校生達と出会ったその時点から勝吉の、未来は変わりはじめていったのだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ