
愛してるって伝えたい
第9章 会えない
その日から、工藤くんとはちょくちょく飲むようになった。
明るくて話しやすい工藤くんは、私を癒してくれた。
営業所に行くのも、工藤くんのおかげで少し気持ちに余裕を持てて、池田くんに会う緊張で張り裂けそうだった思いも和らいだ。
工藤くんからどう思われているかなんて全く気にしていなくて、私は本当に無神経だったと思う。
8月。
イタリアンで食事をしたあとの帰り道。工藤くんが、人の少ない道でふと立ち止まった。
そして私の目をまっすぐ見て、今までにない真剣な顔つきで話し始めた。
「梨花さん。気付いてるかもしれないけど、好きです。
最初は可愛い人って印象だったけど、芯が強くて、でも穏やかで人のことをきちんと考えてる大人なところに惹かれました。
でもたまに見せる寂しそうな顔を見ると…すごく心配で。
年下で頼りないかもしれないけど、守ってあげたいってすげー思いました。」
なんてまっすぐな子なんだろう…
私の反応を伺う工藤くん。
工藤くんに向き合わなきゃいけないのに、やっぱり頭に浮かぶのは池田くんだった。
