
清純派リミット。
第4章 悪い子
翌朝7時ーーー
ピピピッ…ピピピッ…
ん…あれ…
わたし、寝ちゃってた…?
いつものように目覚ましの音で起きたわたしは、シャワーに入って着替え、身支度を済ませて広間に向かう。
既にきっちりと用意されている純和食の朝食に、笑顔のお手伝いさんたち。いつも通りの光景。
「お嬢様おはようございます」
「おはようございます…」
「それから、本日はお誕生日おめでとうございます!お嬢様もついにハタチですかぁ~。時の流れはやいものですねぇ」
この人はお手伝いの山本さん。
わたしが小さい頃から黒川家で働いてる温厚な中年の女中さん。
「そっか、今日でハタチなんだ…」
「あら?なんだか浮かないお顔ですね。どうなさったんです?」
「えっ?なんでもないですっ!」
そんなやりとりをしていると、今日も朝からビシッと着物を来たお祖母様が現れた。
「皆さんお早う。今日は椿のハタチの誕生日です。夜の祝の宴の用意は大丈夫ですこと?」
「問題ありません、奥様」
「なら宜しい。
椿、今日は大事なお客様もいらっしゃるんですから、くれぐれも遅くなるんじゃありませんよ?」
「はい。」
毎年誕生日にはきちんとした様式でお祝いをするのが黒川家でのしきたり。
お祖母様の丁寧な口調を前にするとどうしても萎縮してしまう自分がいる。
わたしは朝食を済ませ、1限の授業を受けるために大学へ向かった。
