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第25章 真夏の雨 by millie

翔が俺の向こうに誰かを見ているのは知ってた。

そして…その相手も…。

部屋でスマホをいじってると退屈そうな翔が「なにしてんの?」って。

「ん?メール?」

スマホの画面を切り換えて翔に向ける、

「この人とね…メールしてたの。

 もうすぐ帰ってくるんだって」

画面に映る写真。
柔和な顔で微笑んでる。

ずっと見てた人。

俺の隣に居続けてるくれると頑なに信じてた。

あの頃の俺にはあの人しか見えてなかった。

「それ…」

絶句する翔。

「隣の家のお兄ちゃん。

 …俺の初恋の人。

 …翔ちゃんも知ってるでしょ?」

「…智くん?」

翔はそういったまま、動かなくなった。

隣の家の智兄ちゃんは優しくて…いじめられっ子だった俺をいつも守ってくれた。

俺のヒーローはいつの間にか俺の一番好きな人になっていた。

大好きだったからずっと見てた。

あの夏の日。

智兄の雰囲気が変わったのに気がついた。

いつも柔らかく笑ってる智兄の顔が男の顔に見えた。

理由が知りたくて…ばれないように後をつけた。

そこで見たのは知らない男の子と楽しそうに笑う智兄の顔だった。

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