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第64章 検査しようね? by millie

「次の方どうぞ」

言いながらパソコンのディスプレイに表示された名前を見る。

引き戸の開く音につい嫌味の一つも言いたくなる。

「なにやってんの?松本先生?」

俺の第一声もどうかと思うけどそれは奴も一緒だ。

「え?今日1診、和なの?」

マスクの下から驚いたような声。
でも掠れてる。

「大野先生学会で代診なの。
 でどうしたんですか?
 受診するなんてよっぽどなの?」

「薬ほしいだけ。多分風邪。
 恋人に遷すのやだし」

「あらまぁ、お相手、幸せね?
 どちらの方?」

「目の前にいるけど?」

「なんで家で言わないんだよ?」

「 だって今日夜勤じゃん和。
 どのみち処方箋ないと医者だって薬は出ないし、なら智からチャッチャと貰おうと思ったのに…」

拗ねた顔をする潤。

「診察するからボタンはずしてください?」

グダグダになりそうな空気を断ち切る為に医者である自分に戻ったのに…。

「え?いいじゃん?
 風邪だから薬出して?」

「アホなの、潤?
 どこの世界に診察せずに薬出す医者がいるの?」

「え?智。
 欲しいの言うと出してくれるよ?」

はい、説教決定!

「それ、ダメだから。
 風邪に薬が不要なの知ってるでしょ?
 対症療法しかないんだから。
 大体なに勝手に風邪とか言ってんの?」

埒があかないから勝手にボタンを外して聴診器を差し込む。

「ちょっ」

「黙って!」

有無を言わさず診察に持ち込んでついでに上から下まで徹底的に検査してやった。

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