センチメンタルメモリー
第2章 TOKYO
「はいはーい」
「いま信号んとこ、車は黒のセダン」
「車種は…」………
また一方的に着られた電話。
3年も関わってると慣れたもんだ。
『お前の番号なんて登録してねーよ』って言ってたけど本当は私の本名で登録してくれてた。
そうゆう優しさが私を苦しめる。
人混みを避けながらやっと直哉の車に着いた。
トランクにスーツケースを乗せ助手席座る。
車の中はタバコの匂いとムスクの香りがした。
「おう、久しぶりだな」
直哉は私の方なんて見向きもしないでタバコを咥える。
「そんなことないでしょ、この間も遊んだでしょ」
直哉は東京に住んでいてたまに私の地元に遊びに来ていた。
直哉の地元も私の地元と同じらしい。