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腹黒ドS王子の愛する人

第10章 溢れる思い

「ふん、行くぞ葵。」


「西条くん、またね!」




慧さんが西条にあいさつをして俺はそのまま兄ちゃんに引っ張られる。








何か言いたげな西条が目に入ったけど俺は何も言えなかった。






やっぱ、デートだよな....








さっきの二人を思い出してまた涙が出そうになる。




「ほらほら、葵くん。帰ったら飲もうね!」




明るい声が響く。





慧さんなりの気遣いだろう。何もわからないふりをして明るく振舞ってくれるのが俺にとったらとてつもない救いだった。







「ありがと....」








俺は気づかなかった。





俺だけじゃなくて西条も苦しんでたことに。

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