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AAAの話部屋

第9章 僕の憂鬱と不機嫌な彼女

日高くんはとっても頭がいいから、余計なことを考えてしまう。


特に最近は、喉の手術もあり、余計だった


ちょうど、撮影から帰ってきて荷物を下ろすと

彼は1人で暗い部屋にいた


きっと、私では理解できないようなことを考えているんだろう


「ただいま。なにしてんの?」


「おかえり。待ってた。ずっと」


抱き寄せられ、そのままベットに2人で横になる


そのまま、日高くんが静かに涙を流す


私はその涙を拭って、日高くんの難しい話に耳を傾ける


「俺はさ、無意味なことはしたくないんだ。

だからこそ、俺は存在している意味がないと思う

別に価値観が欲しいとか、同情とかじゃないんだけど

俺のシステムの中には生きている意味を探すっていうものがないんだよ」


これは、彼の本心ではない



こういうことを言わないと、どうにかなってしまうから


口に出さないと、本当に死んでしまいそうだから、彼は言うんだと思う


それを私はずっと聴いてるだけでいいの


話している間は、あなたの顔がとっても皮肉に歪む


その歪みさえも、私は愛おしいと思ってしまう


その歪んだ感情を吐き出すように抱き合った夜も


何度も鳴いて泣いて啼いて殺した夜も


きっと、世間は冷たい目で見て嘲笑うに違いない


だけど、そんな残酷な世界の中で愛を確かめ合うのも


悪くないと、彼は呟いたし、私も頷いた



日高くんはきっと、ずっとこんな感じだと思う


それは私しか支えられないものだし、きっと彼は、
それを望んでるんだと思う。





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