AAAの話部屋
第11章 黒の誓い
リハビリは順調に続いていき、だいぶ歩けるようになった
しかし、リハビリと共に俺の精神はどんどん悪い方向にいっていた
原因は怪我をして歩けなくなってから色々なものを失ったからだ
俺はダンサーだから足が命だった、そんな足を怪我して動かなかなってから信じてた奴らがいらないって顔で俺をみて、離れていった
彼女も同じ。
足が治ったとしても俺の行く場所なんてない、
それは言われなくても言わなくてもわかっていた
そんな事を治るたびに恐れた
夜、自分が1人暗闇の中にいる夢を見た
苦しくて呻いてたのだろう、ナースの人が来て主治医の代わりに浦田先生を呼んだ
起きた時には浦田先生が隣にいた
「どうした?足、そんなに痛い?大丈夫?」
「先生はさ、俺以外にも患者おるんだよな、俺が治ったら、先生も離れていくんだよな」
俺は自分でも何を言っているのかわからなかった
でも、どうしようもない不安と恐怖に襲われていた
「大丈夫。離れないから。」
強く確信を持って言ってくれた言葉。だけどそれは
安心させる薬にすぎない、高価でもない安い薬
「そんな確信ないやろ......そんなん嘘や。」
涙が出て、ただでさえガラガラなのに声が枯れた
そこから先生は考えたように黙り込んでいた
「じゃあ、証拠を見せてあげようか?」
先生は俺の頭の横に手をつき首筋に頭を埋めると
ゆっくりと舌で舐め上げ
チクっとした痛みと共に跡を残した
俺は唖然として先生を見ていた
いけないことだとはわかってる、だけどこういう時に限って子供心が現れてきて
「続きしないの?」
と誘ってしまう。
このまま溺れてもいいや、と背中に手を回した。