DAYS
第36章 Mine S×A
雅紀の瞳が、じっと俺を見てる。
「何言ってんの?」
「え?」
「…ずっと、翔ちゃんのものだもん。
そうでしょ?」
ニコって。
こんな俺なんかに、優しい笑顔をくれた。
何を不安がってたんだろう。
いつだって雅紀は俺の方を、
俺のことだけを見ているのに。
「…ごめん。」
さっきまでの不安とか、劣情とか
そんなのは全部吹き飛んだ。
途端に鼻の奥がツンとして、
視界がぼやっと滲んでくる。
「謝るのは俺だよ。
ごめんね、翔ちゃん。
翔ちゃんが苦しんでるの分かってたのに、
助けてあげられなかった。
話、聞いてあげられなかった。
これからは、もっと翔ちゃんに
ぶつかっていくから。
もっと分かり合いたいって思うから、
逃げないよ、俺。」
覚悟してねって雅紀が体を起こして
俺をぎゅっと抱きしめてくれる。
ずっと我慢していた涙が、
一気にバッと溢れ出した。
「怖かった…っ。」
「うん。」
「雅紀のことも、自分の気持ちも
信じられなくって…、雅紀は
俺から離れてくんじゃないかって…っ。」
自分の全てをさらけ出す。
こんなに情けない俺でさえ、雅紀は
「辛かったよね。ごめんね…。」
全部優しく包み込んでくれる。
もう、間違えないから…。
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