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襲われちゃう女の子

第4章 彼氏のお兄さん




その時、リビングだと思われる部屋のドアから一人の男性が廊下に現れる。
スラッとした長身のその人はこちらを見ると「ん?」と首を傾げる。


「あれ、裕翔おかえりー」

「あ、兄貴!?何でいるんだよ!」

「いちゃ悪いの?俺の家でもあるんだけど」


焦った様子の彼の様子に私は疑問を持つ。
どうしてそんなに慌てているんだろうか。

そんなことを考えているとそんな先輩のお兄さんがにこやかに近付いてくる。
先輩のお兄さんだけあってやはりモテそうな人だった。


「へー、新しい彼女?」

「新田楓と言います」

「どうも、裕翔の兄の宗介です」


そう言って笑った宗介さんに私は思わず見惚れてしまう。
先輩とは違って少しチャラついた雰囲気だけどお兄さんも格好良かった。

先輩は「やめろよ」と、


「あんまり見んな」

「何で?弟の彼女気になるし。楓ちゃん可愛いね」

「え」


可愛いって、お世辞とはいえ顔が赤くなる。


「ほんと、かわいーね楓ちゃん」

「……?」


一瞬宗介さんの目がギラついたように見えたけど、気のせいかな。

先輩が私の腕を掴むと「行こう」と階段を上り始める。


「俺一応リビングにいるから。何かあったら声掛けて」

「ん、分かった」


素っ気ない返事。もしかして仲悪いのかなぁ。
先輩の部屋に入ると彼はこちらを振り向いた。


「ごめん、兄貴いると思ってなくて」

「ぜ、全然!吃驚はしましたけど!」

「あの人家に誰か連れてくると毎回絡んでくるから嫌だったんだ」

「あ、だから……」


なかなか家に連れてきてくれなかったんだ。私が嫌な思いをしないために。


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