
友恋
第11章 特別
「悠樹はね、気づいた時から“ゆう”って呼んでくれてたの。名前を意識したくない私にとっては、悠樹から呼ばれるときだけすごく楽だった。」
そうだ。
高校で人と話すこと、接することが増えたから忘れていた。
私は自分の名前が嫌いだった。
「でも今は…楓に優姫って呼ばれるのは嬉しいの。私、友達いなかったから…」
「優姫。」
楓が私の掌に手を添えてきた。
「私も、優姫と友達になれてとっても嬉しいの。優姫を初めて見たとき、この子と友達になりたいって思ったの、一目惚れってやつかな。」
楓の言葉に私はクスッと笑った。
掌が温かい。
