
友恋
第11章 特別
「どうして橘くんは、優姫のこと“ゆう”って呼ぶの?昔からそうなの?」
私は楓の質問に言葉を詰まらせた。
“ゆう”
そう呼ぶ悠樹の顔が浮かんだ。
「あ、ごめん。言いたくなかったらいいの。ごめんね。」
私が黙ってしまったので、楓が申し訳無さそうな顔で謝る。
「ううん、平気だよ。悠樹は…私のこと気にかけて、名前を呼ばないの。」
「気にかけて…?」
「うん。私ね、名前をからかわれることが多かったの。優しいに姫、だから。姫って名前がついてるからぶりっ子だとか、姫のくせに可愛げないとか…」
声のトーンが小さくなっていく。
