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覚醒

第3章 処女

あれから数年が経ち、真実は地元の医大の2年生になっていた。両親が勤務しているのは、真実の大学の附属病院だ。

華奢な躰に日焼けした小麦色の肌、長い髪をおさげに編んでいた小学五年生の真実の面影は、今はどこにもない。

透き通るような白い肌、セミロングの黒髪は、毛先を綺麗にカールしている。
長い睫毛に吸い込まれそうな大きな瞳、上品な鼻、小さな唇は、もぎたてのさくらんぼのように艶やかだ。
両親譲りの美形で、スタイルも誰もが羨むほど美しく均整がとれていて、申し分のない、美しい女性に成長していた。

真実は、この春にテニスサークルに入った。そして同サークルの1つ上の先輩、垣元 康太に告白され、付き合うことになった。

真実は、これまで男の人と付き合ったことがなく、康太が初めての彼氏だった。

康太は、優しくて頭も良い。そして、スポーツマン。長身でハンサム。誰もが、二人のことを美男美女の理想のカップルだと噂した。

そんなある日、康太が真実を誘った。

「真実、明日の日曜、良かったら俺の家に来ないか?
ステレオすごくいいの買ったんだ。レコード一緒に聴こうよ。ベット.ミドラーの『The Rose 』真実、前から聴きたいって言ってただろう?他にもたくさんあるから、おいでよ」

「ほんと?嬉しい!聴かせて」


真実は、初めて男の人の部屋に入った。

これから起こるであろうことも、真実にも想像がつく。ただ、レコードを聴くだけではすまないことを。

緊張していた…。

康太は、実家から離れてアパートで一人暮らしをしている。学生の住むアパートにしては、ちょっと贅沢なくらいのおしゃれな部屋だった。

「お、お邪魔しまぁす」

「どうぞ、適当に座って。何か飲む?ビールもあるけど」

「あ、ありがとう。おかまいなく…」

「ハハッ、真実、緊張してる?」

「だって…」

康太は、真実の緊張をほぐすため、真実の好きなレコードをかけたり、サークルや、バイト先のことなど、他愛のない話をする。

真実が、少しリラックスしてきた頃、康太は、真実の肩を抱き寄せた。

「真実…好きだよ…」

康太の顔が真実の顔に近づき、唇が触れる。

真実にとっては、初めてのキス。

真実の心臓が高鳴る。康太に聞こえそうで、恥ずかしい。

康太は、真実の髪を優しく撫で、頬に手を添えると、再び唇を重ねて来た。

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