テキストサイズ

覚醒

第10章 策謀

父のベッドで父と抱き合いながら眠った。

夜が明け、もう昼近くになろうとしていた頃。

真実は、漸く目を覚ます。

夕べのようなハードな一夜は真実には、初めてだったせいでもあるが、父に抱きしめられながら眠る安堵感が、真実を深く眠らせた。

しかし、隣にいたはずの父がいない。

真実は裸のままだった。夕べの事を思い出し、急に恥ずかしくなり、躰をタオルケットで巻き付けるように隠す。

ガチャッ

聡がドアを開けて入って来た。

「真実、おはよう。て言うか、もう、『こんにちは』だな」

「パパ…お、おはよう」

真実は父の顔を見るのが少し気まずいような、恥ずかしいような、気持ちだった。

父と目を合わすことができず、頬を赤くして俯いた。

「…?真実、とうした?顔が赤いぞ?」

「………」

「もしかすると、恥ずかしいのか?」

「……だって……」

「フフッ、可愛い真実。夕べは凄かったぞ。『あぁ~パパ~!挿入れて~』」

「きゃ~やめて~!そんなこと言わないで!」

真実は、聡の言葉を制するように叫んだ。

「ハハハッ、冗談だよ。…真実、可愛いよ」

聡は、真実の肩を抱き寄せて、柔らかな優しいキスをした。

「真実、この薬をこれから飲んでもらうよ」

「なあに?私、どこも悪くないわよ」

「いいから、この箱の中に服用法方が書いてあるから、よく読んで、決められた期間は必ず欠かさずに飲み続けるんだ。いいね」

「でも…何の薬なの?」

「真実、君は私と約束したね。これからは、パパの言うことを聞くと」

「…分かったわ…パパの言う通りにします」

「よし、いい子だ。それから、これからパパが帰って来たときは、必ず君を夕べのように可愛いがってあげるからね。私が呼んだら直ぐにここへ来なさい。いいね」

「でも、ママが居るかも…」

「ママが帰る時と、日をずらす。ママと逢わないようにするから」

「それじゃぁ、3人で逢えなくなるの?」

「まぁ、そう言うことになるね。仕方ないよ。ママの前で、君を抱く訳にはいかない。私は、君といる時は必ず抱くと、決めたのだ」

真実は、聡の言葉に表現し難い冷たさのようなものを感じた。

夕べのような熱い時間を、父と過ごせることは嬉しかったが、家族が壊れてしまうのでは、と言う不安と恐怖が、胸につかえていたことも確かだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ