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あなたの色に染められて

第23章  significant other





『…うん。…あっ。……ゴメン。切るね。…LINEし……うん…じゃ。』

俺に背を向けて電話を切る美紀

『…なぁ。…コソコソ電話すんなって。……すげぇ気分悪いんだけど…』

風呂上がり 耳を澄ますと美紀は璃子ちゃんと電話中

なのに…俺の気配を感じるとすぐに切りやがる。

『…ちょっと大事な話なの。うるさいなぁ』

頬を膨らませて俺の横をすり抜けて風呂に向かう。

バフッ…

…うるさくねぇ っつうの

俺はベッドにダイブする。


美紀は俺の前で璃子ちゃんと電話しなくなった。

京介さんが璃子ちゃんに電話してからもう1ヶ月。俺の部屋にも美紀が買ってきた小さな小さなクリスマスツリーが光を放つ。

あの日 京介さんは俯き優しく微笑みながら璃子ちゃんの名前を繰り返し呼んでいた。

その呼び方はひとつひとつに二人しにかわからない暗号のようなものがあって 聞いていて微笑ましくもあり 切なくもあった。

二人の会話のやり取りは俺たちの心を大きく揺さぶり 今更ながらに二人が離れてしまったことを後悔させた。

特に長谷川さんは未だに責任を感じ幸乃さんと一緒に色々と思案してくれているらしい。


職業柄か俺たちよりも冷静に判断し友人として璃子ちゃんを想う美紀もまた思い悩んでいた。

きちんと終わらせることがお互いのためと考え お酒の力を借りてまで 心を鬼にしたのに

“看護師なんてなんの意味もない…”

俺の胸を叩きながら泣く様は悔しさと虚しさからだったのだろう。


でも 俺たち男連中は諦めてなんかいなかった。

あの日の帰り道 俺の耳元で“情報収集ヨロシク”って佑樹さんが背中を叩きながら言ってきた言葉。

俺はきっと眩しすぎるぐらいに目を輝かせて頷いたと思う。


正月明けに 美紀高校時代の友人が結婚式をあげる。美紀の態度を見てるときっと璃子ちゃんも出席するはず。

俺にできること。それは璃子ちゃんのスケジュールを把握すること。

なるべくいいタイミングで二人を引き合わせたい。

声を聴いただけで二人の心が揺れたんだから 会えばなおさら…

『…アイツ 俺にペロッと喋んねえがなぁ』

美紀のスマホをチラチラ見ながら思案する俺

風呂から出てきた美紀を強引にベッドに引きずり込む。

『ちょっと~』

『…いいから食わせろよ』

『ヤダ!』

…俺のオンナは相当手強いけどな

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