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あなたの色に染められて

第3章 二人で


『…璃子。』

私の名前を呼び捨てにするとそっと引き寄せられた。

『俺はもっと離したくないんだけど…』

そしてゆっくりと長い腕が回り私を包み込んで

『もっと 俺だけのモノにしたいんだけど…』

引き寄せられた胸からは京介さんの声と鼓動が重なって私の耳に届く。

私は京介さんの胸に自然と額をくっつけてシャツを掴み

京介さんの香りがする…

彼の体を感じた。

…チュッ

…えっ

髪にそっとキスを落とされると

『璃子…好きだよ…。大好き。』

甘い言葉。

その掠れた声が私の耳に届くと体中が痺れた。

どうしてだろう…うれしいのに涙が溢れてくる。

私はコクンコクンと何度も頷き涙で京介さんのシャツを濡らしていく。

『なぁ…俺だけの璃子になってくれる?』

『…ぅ。』

涙でグショグショの私はなんの迷いもなく大きく首を縦に振った。

断る理由なんてなにもなかった。

京介さんは涙を流し続ける私の顔を覗き込むと

『返事聞かせて?…俺に聞こえるように。』

まっすぐに私をみつめる眼差し

『ほら 璃子ちゃん?』

その優しい瞳に吸い込まれそうなほどフワフワした感じの私は大きくひとつ息を吐くと

『私も、京介さんが…。大好き…で…す。』

聞こえたかな。精一杯の思いを込めて私の想いを唇にのせた。

『大変良くできました。』

京介さんは私の頬の涙を指で拭いながら手を添えると

『大好きだよ…璃子…』

キスを贈ってくれた。

はじめて重ねた唇は冷たくて甘くて

『まだ泣いてるの?』

とても幸せな気分にさせてくれるものだった。

『だって…人を好きになるのって…こんなにうれいんだって知らなかったから。』

止めどなく溢れてくる涙を拭いながら 京介さんはわたしに言葉を紡いでくれる。

『ありがとう…俺を一番に選んでくれて。』

お互いの顔がゆっくりと近づきもう一度唇が重なる。

それは長くて深いキス

『…んっ…』

私は始めてのことで息がもたずに彼の胸を叩き訴えるけど

『ダーメ。』

『…んっ。』

今度は啄むように何度も唇を重ねてきた。

『ホントにかわいいな。』

抱きしめられるのがこんなに落ち着いて

キスがこんなにも私の体を蕩けさせてしまうなんて

『そんなに煽てないで下さい。』

はじめての私は何も知らなかった。

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