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あなたの色に染められて

第8章 おしゃべりな彼


目を開けると彼の腕の中にいた。

『…大丈夫?』

まだ大海原に身を委ねている私は彼の胸に頬を埋めたまま顔があげられない。

『おまえは本当に可愛いな。』

顎をクイッとあげられて目を合わせる。

あ…やっぱり…

エッチのあとはいつもそう 目を細めて口角をフッとあげて私をからかうような視線を送るんだ。

『あれ?はじめて俺のでイキました。って顔に書いてあるぞ。』

『もう!』

でね、意地悪言うの。

『どうだった?夢の世界は?』

『知りません。』

『フフッ。』

『笑わないで下さい。』

『笑ってねぇし。』

『笑ってます!』

『ハイハイ。』

『あっ!そうやって…私を虐めて楽しいですか?』

そして反撃も許してもらえず

『楽しい。』

『…もう…んんっ…』

意地悪なくせにキスはとっても優しくて私を骨抜きにしてしまうんだ。

そう、私はこのキスが一番好き

友達に終わったあと すぐに寝ちゃう人とか着替える人がいるって聞いたことあったけど

『まだ。勝手に放れるな。』

京介さんはこの時間をとても大切にしてくれてる。

…チュッ…チュッ…

この終わったあとのキスって

…好きだよって

…キモチよかったよって

…私を愛してくれてありがとうって

お互いの心の声を重ねてるような気がしない?

『…璃子。』

そしてキスの後はフワッと引き寄せられてギュッとしてもらえるの。

『柔けぇ。』

これも好き

京介さんの鼓動を直に聞くことが出来て私だけのものなんだって思えるから

でね。次はきっと彼は私にこう言うよ。

『…愛してるよ。』

ね、言ってくれたでしょ。

『…わ…私もです。』

この言葉を合図に私は彼の大きな背中に手を回して 今度は私が抱きしめてあげるの。

なかなか “愛してる” って言葉に出来ない私。

いつも言葉にしようって思ってるんだけど なかなか…難しい今の課題です。

『京介さん。』

『ん?』

真っ白なシーツの上 私は彼の色に染まる。

今どんな色してるんだろう。

『あの…もう少しこのままで居てもいいですか?』

『どうぞ。』

柔らかいお日様みたいな色だといいな。

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