秘密のおとぎ夜話
第13章 【赤ずきん】魔性の森
1年後。
少し背が伸びた少女は、赤いずきんからこぼれた髪をなびかせて歩いていく。
「森の中は危ないから、気をつけて―――」
心配そうな、でもどこか諦めたような母の声を背中に聞きながら。
「なあ赤ずきん、おつかいなんか後にして遊びに行こうぜ―――」
豊かに成長した胸の膨らみを盗み見る同い年の男たちの誘いを、笑顔でかわしながら。
……………………
森の中は確かに危ないわ。私の身体をみだらに作り変えてしまったオオカミと猟師が…今日も私を食べつくそうと待っているんだもの。
だけど私、村の男の子と遊ぶよりも、特別な遊びに魅入られてしまったの。
終わらせ方なら知ってるわ。
でももう少し…
森の奥まで冒険したいの。
だって、毎回何が起こるか分からないんだもの…
まだ、知らないことがいっぱいあるような気がするの。
……………………
そして今日も魔性の森へ、赤ずきんは足を踏み入れる。
「赤ずきんちゃん、よく来たね。今日は西の森にいる僕の仲間を紹介するよ。
3人で………遊ぼう?」
「2人のオオカミさんと、遊ぶの…?」
「そう。いつもよりきっと…楽しいよ」
-fin-