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桜舞 〜刀剣女士、百華繚乱!〜

第1章 新たな刃生(じんせい)

それは、桜の蕾が芽吹こうとしていた

初春の宵――


「さあ、目を開けて?」


男の声で、刀の付喪神となった櫻斬(サクラギリ)蜜姫(ミツヒメ)は

ゆっくりと目を開けた。


「君、名は・・・?」


「蜜姫、櫻斬蜜姫よ・・・」


彼女はせわしなく、腰に挿してある太刀を指先でもてあそびながら言う。


(わたしだけなのかしら・・・刀剣女士として生を受けたのは。姉様(あねさま)はいないの?)


その菫色の瞳には、一抹の不安と疑問が浮かんでいた。


「主(あるじ)さまの名は・・・?」


「風招(カザオキ)しをんだよ・・・ねえ、俺のことはしをんって呼んでくれないか。」


「え・・・?何故ですか?」


その瞳に戸惑いの色をたたえ、蜜姫は問うた。


「おまえには名で呼んでほしいんだ、だめ?勿論、二人だけのときに・・・」


悪戯っぽく笑っていう主君となった男に

蜜姫は親しみを感じた。


「えぇ。いいわ、しをん様・・・」


彼女はそのとき始めて、微笑んだ。まるで、花が綻ぶように。


「おまえに俺の刀剣男子たちを紹介しよう・・・行こうか、蜜姫?」


「はい・・・しをん様。」

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