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困ったようにも、哀しみをひた隠しにしているようにも見える

彼女の微笑み。

「こんなことではいけないわね・・・」

それでも尚、気丈に微笑もうとする蜜姫の儚い体を

子狐丸は抱き寄せた。

「・・・っ」

背後で吐息を飲み込む気配がする三日月。

「貴女は・・・昔私が言うた言葉をお忘れか？」

「いいえ、覚えているわ・・・」

「だったら、何故「この俺を、無視するのか・・・？」

拗ねたような口調で、蜜姫と子狐丸を引きはがす三日月。

そして、自身の腕の中に閉じ込めた。

「だが、子狐の言う通りだ。そなたはもう少し、ひとに甘えることを学んだ方がいい。」

「三日月殿まで・・・!!あの頃と少しも変わってないわね・・・」

「でもありがとう。上辺だけの気遣いだって分ってるけど、嬉しいわ。」

「「上辺だけじゃない・・・!!」

当時に言う二人に、蜜姫は優しく微笑みかけた。

「そなたはいつだって、俺と子狐の好意を踏みにじる。」

「そうね、分ってる。」

否定をせず、彼女は困ったように笑う。

「今も昔も、そしてこれからも、貴方を・・・」

子狐丸は言う。

「やめて子狐殿。わたしを好きなんて・・・」

「俺もそうだぞ。」

「わたしなんかに好意を寄せない方が身のためだって、分ってるでしょう？」

「それでも、私は・・・「さあ、出て行ってちょうだい。」

「蜜姫、俺と子狐はただ・・・「出て行って!!」

蜜姫は怒りのこもった目で、二人を睨んだ。

「分かった、そうしよう・・・子狐。」

「えぇ、三日月。」

二人はそれ以上何も言わず、彼女の部屋を出た。