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秘密

第3章 新しい

ご飯は3分の1ぐらいしか食べられなかった

でもさっくんは
「少し食べれただけで嬉しいです。今日はお風呂に入って早めに寝ましょう」

「ごめんね、さっくん…ありがとう」

この一瞬が宝物なんだ
パパと当たり前に過ごした日々が
当たり前じゃなくなった

きっとさっくんともそうなるんだ
だからこの一瞬一瞬を大切にしなくちゃいけないんだ

お風呂から出てそのままの足で望遠鏡を担いでベランダに出た

パパじゃない、さっくんがついて来る

月にピントを合わせるといつも以上に光って見えた

まるで『ルナ!月になったぞ!』ってパパが自慢してるみたいに

そんなパパを思い浮かべていると笑いがこみ上げてきた

「ふふっ、パパ子供みたい」

さっくんをみると微笑みながら月を見ていた

きっと同じ気持ちなんだろう

「寝よっか」

望遠鏡を片付けてさっくんとルナの部屋に入る

いつもみたいに背中をトントンしてくれる

「おやすみ」

って言うと

「おやすみなさい」

って返してくれる

これも一つの幸せかな

明日はお葬式だ
さっくんには立っていればいいからって言われた

それでも初のお葬式

緊張するにきまってる

そう思いながらもルナは深い眠りについた

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