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コケティッシュ・ドール

第2章 可愛い優しさ



仕事を終え、図書館を出ると―――

「村雨」

「あ、白川先輩。 お疲れ様です」

「お疲れ。 なぁ、あれ…広田さんだよな?」

私はビクンと肩を震わせた。

「はい…」

建物にもたれ掛かっている大きなシルエット――玄関を出る前から気づいていたが、見ないふりをしていた。

「お前のこと、待っててくれたんじゃないか?」

きっとそうだ。

「ほら行くぞ」

「きゃっ!?」

先輩は強引に私の手を引っ張った。

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