
コケティッシュ・ドール
第2章 可愛い優しさ
「広田さーん」
歩きだした広田さんはびっくりしたようにこちらを振り向いた。
「あ……」
「今朝はありがとうございました。 ところで、その…今帰りですか? よかったら、この子、送って行っていただけませんか?」
「はぁっ!? ちょっ、先輩…」
「いつもは僕が送って行ってるんですが、今日はちょっと用事が……」
言いながら、先輩は私の身体を広田さんの方へと押しやる。
モノか、私は。
広田さんは白川先輩の勢いに唖然としていた。
「よろしくお願いしますっ!」
ペコリと頭を下げたかと思うと、先輩はさっさと駅の方へ歩き出す。
ちょっと私を振り向いて、口の動きだけで「がんばれ」と言ってきた。
何を――頑張ればいいの…
