秘密中毒
第2章 情事
「でもホント、アヤさんあたしより見た目若いし!結婚3年半だっけ?には見えないよ~」
「ウフフ…そんな褒めてもランチおごらないよ?」
ムダ話を切り上げるべく、あたしはパソコンに向かった。
思い出したように桜が言った。
「赤ちゃんなかなかできないですね~。ま、あたしはそのほうが助かるけど♪」
……適当な相づちを打ちながら、あたしは仕事に集中するフリをした。
(赤ちゃんは、たぶんずうっとできないんだよ…………)
あの人とのセックスレスは、誰にも秘密。
親友にも親きょうだいにも卓也さんにも、絶対に秘密なんだ。
これはあたしだけの、冷たく重い秘密――――
その時、事務服のポケットの中で携帯が震えた。