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秘密中毒

第14章 最後日



「味噌汁が濃いし火を通しすぎだな。おにぎりは握りすぎで塩が薄い。」

「……えええ!!!」

あたしの思考は料理への酷評でさえぎられた。

「で」

山田くんがあたしに向き直る。

「たまご焼きは完璧。」


「ほ、ほんと?」


「作り方教えろ。」


「って言われても……適当?」

「なんだよ、まぐれでこんなうまいの作っちゃったのか?」

なんかちょっと熱くなってる山田くんがかわいく見えてくる。

「あ、そういえばお母さんに習ったとおりにアレを入れてる。」

「何を?」と、テーブルを回り込んで身を乗り出す山田くん。

「……秘密。」


乗り出した勢いのまま、山田くんがあたしの上に崩れ落ちた。

「何なの、おまえ」

あたしのおへそのあたりで山田くんの息がくぐもって、熱い。

「ふふふ。ひとつぐらい、あたしのほうが上じゃないと!」

たまご焼きをほめられて嬉しいのと、他の料理の酷評が悔しいのとで
あたしはちょっと意地悪したくなっていた。

なんか新鮮だわこの感じ!!


「なぁ…なんでちゃんと服着てるわけ?」

「へ?」

「また脱ぐのに。それとも、脱がされて燃えるタイプだったか?」

「あ、あの…」

急に違う角度から迫られて形勢逆転。

「この服しかないし、てかあんなに…シちゃった…し?」

正直、とっても疲れてるはずなんだけど。

どさくさにまぎれて押し倒されたみたいな体勢で。

獲物を狩る目で見られると…

また心臓がうるさく鳴り出して、身体が熱くなってしまう。


「あ、でも食後すぐは、身体に悪いかも…そう、ほら片付け、しないと」

押し返そうとする腕を床に戻されて。

唇が触れ合いそうな距離で山田くんが言った。

「覚悟しろ。隠し味は身体に聞いてやる」


官能的なキスで、あたしはすぐに浮遊感に襲われながら

「それが目的!?」と心の中でツッコミを入れたんだ。



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