秘密中毒
第3章 慰め
約束の日。
あたしはいつものように、会社に行く日とは違う駅で降りて卓也さんの車に乗り込む。
「おはよう。アヤちゃん…今日もいっぱいしようね♪」
「…あ、え? ええっと…」
今…朝のあいさつとは思えない言葉が聞こえたような……!?
「も~照れちゃって可愛いんだからアヤちゃんは!」
「て、照れてないけど…なんて答えたらいいのかわかんないあいさつ、しないでください…」
そんな会話をしながら郊外のラブホテルに直行する。
今日はホントに、あたしにとって1ヶ月ぶりの「いっぱいする日」なんだ。
部屋の扉が閉まり、靴を脱ごうとするあたしは
卓也さんに引き寄せられ、向きを変えられる。
「ん…っ」
飢えたような性急なキス。
「くつ、を、んむ…っ……」
喋ろうとするあたしの口はすぐに封じられ、
男の欲望を象徴するような舌が口内に押し入ってくる。
あの人の形だけのキスとは違う。
絡め取られた舌から、電流のように伝わる快感が脳をしびれさせる。
「ふ……ぁ」
あたしの身体の力が抜けて卓也さんの腕に支えられる形になる。
しばらく続けてから、唇を離して卓也さんが言った。
「ごめんね、我慢できなかった…会いたかったよ」
「あたしも……」
あたしもこの感覚が欲しかったよ。
求められることの喜びと安心感。
誰かに触れられる快感。
それに卓也さんって。
あたしの想像よりずっとタフで……
38歳の彼が数時間で何回もあたしを抱くなんて、初めての時はホントに驚いた。
20歳くらいの時の彼氏とはそりゃ何度もしたけれど、
あの人ははじめから1回きりだったし、32歳の今ではその1回もない……
というか、少なくともあたしには、むけられていない。
卓也さんは「俺だって嫁さんとは1回だよ? アヤちゃんだと何度でも興奮しちゃうの!」と言ってた。
「アヤちゃんってすごく気持ちいい。身体の相性いいんだきっと」
そうかも知れない。
卓也さんの手はそんなに大きくなくて、身体つきと同様ムッチリしてる。
ゴツゴツした手に色気を感じるあたしとしては、ちょっとだけ残念なんだけど…
その手に触られるともう…
身体が反応しちゃうんだ。
今だって。