秘密中毒
第4章 異変
いつの間にかあたしの足の間に来ていた医師が
「ちょっと失礼」とあたしに触れた。
何か冷たい器具があたしの中に入ってきて
身体がビクンと跳ねる。
器具はすぐに抜かれ、看護師の手に渡る。
看護師は道具の入った箱みたいなものを手に、リビングのほうへ出て行った。
器具の感触がなくなってほっとしたあたしに
「じゃ、内診しますね」と、こともなげに響く低音。
え、終わりじゃないんだ?
さっきちらりと見た、山田医師の指が脳裏に浮かぶ。
長くてきれいな指…でも細くはなくて。
関節や血管がしっかり見える、それだけで色気のある男の手…
ああ、だめだめ!
今エッチなこと考えちゃいけない…
「何がだめって?」背中に響く低音。
「―――――ええっ??あたし何か言いましたかっ?」
「………すぐ終わるから我慢してくださいね」医師が諭すように言う。
「いえ、あの。ダメってそうじゃなくて…その…お、お願いします。」
ギャー、何言ってるのあたし!
お願いしますとか別に言わなくていい場面じゃない?
そもそもダメってなんで言っちゃったのあたし!
半パニックのあたしの中に、薄い手袋をした指が入ってくる。
ドキン!
どうしても身体がこわばる。
指は巧みにするすると入り込む。
ローションか何か使ってるのか、抵抗があまり感じられない。
それでも医師が言った。「力抜いて…」
やだ、そんな声…色っぽく聞こえちゃう。
その瞬間、指が2本に増えた。
「ぁっ」
…ビックリして声が!
あたしは自分の口を両手でガバッとふさいだ。
2本の指はさすがに存在感たっぷりで…
あたしの中をまさぐる動きをする。
あの顔で、この指で、こんな声…ずるい。
だめ……だめ………診察なのに。
あたしの粘膜は、あたしの意志とは無関係に2本の指を締め付けて。
指の動きに、身体がピクンと反応してしまう。
「……っ」
医師の顔は膝にかけたタオルケットで見えない。
あたしは恥ずかしくて死にそうなのに、なんだか念入りに調べてる…もう終わって……お願い。
(あっ!やだ…またキュウってなっちゃった…)
…………
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