秘密中毒
第4章 異変
医師と看護師がぶ厚い鞄を開いてなにやら準備している間に
初診票というやつに生年月日や既往症を書きこむ。
今朝から痒いって話をすると、さっそく内診ってことになった。
もっと普段の性生活とか聞かれると思ってたからほっとした。
スカートを履いたままショーツを脱いでベッドに横になる。
看護師がやってきて、スカートを結局腰の上までまくり、お尻の下に柔らかい紙のようなものを敷いた。
タオルケットを立てたひざにかけて、緊張を解くように話しかけてくれる。
「先生っていくつだと思います?ああ見えて結構イッテるんですよ♪」
そこで初診票から目をあげて医師が口を開いた。
「杉本、俺とその人は同い年だぞ。」
杉本さんの顔色がさっと変わる。
「えっ!ウソ~!てっきり水谷さんって20代前半だと…ごめんなさい!」
彼女のあわてぶりに、あたしはくすくすと笑った。
「気にしないで。どうせけっこうイッテるから」というと
「きゃあー!許してください~~」と半泣きになる。
「まったく。患者の年齢ぐらい把握してからしゃべれよ?」
咎めるような内容を、楽しそうな口調で話す医師。
………仲が良さそうなコンビだ。恋人同士かな?
そんなことを考えて、少しだけ胸の奥がチクリとする。
あれ?あたしってば、このお医者さんが好みだからって…
こんな気持ちになるなんて変なの…
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