
秘密中毒
第5章 再会
「どうしました?」
杉本看護師がこっちを覗き込み、
「大丈夫ですか!?」
あたしに駆けよった。
あたしの足元でうずくまる山田医師が
「大丈夫じゃないのは俺…」
と、うめいた。
「だって水谷さんの叫び声がしましたよ?先生、何したんです?」
杉本さんは手早くあたしの濡れたところを拭きとり、腰の下に敷いたシートを取り去る。
あたしに恥ずかしさを感じさせる隙を与えずにスカートで膝下までを隠してくれた。
疑いの視線が山田くんのほうを向いている。
「あの、違うの!知り合いってことがわかって、恥ずかしくなって思わず……。」
あたしは小さい声で説明する。
「そうだよ。気づいてもらえない上に蹴飛ばされた俺が被害者だろ?」
体勢を整えながら山田くんが言う。
その言いぐさに、あたしはムキになって。
「なにもあんなときに言わなくたって!それもあんなふうに……」
感じやすいとか、緩めてとか、あんな意地悪――――
「あんなふう?」杉本看護師が首をかしげた。
「い、いえ!なんでもないです!」
そう言ったあたしを見る山田くんの唇が、少し笑ってるのは気のせいだろうか。
「じゃ、リビングにいますから。服を整えたら出てきてください」
すぐに医師の顔に戻って柔らかな低音で言い、彼はドアの向こうへ消えた。
「あ…そっか。パンティーはかないと!」
ようやく我にかえったあたしに、痒みがじわりと戻ってきた。
