
秘密中毒
第5章 再会
メールはやっぱり卓也さんからだった。
『今日アヤちゃんの退社時間にファミレスで待ってるね♪』
あたしが月曜日にメールしたんだ。
やっぱり卓也さんにはカンジタのこと話しておかないと…
もしも風邪薬のせいじゃなくて、卓也さんにも繁殖してたら奥さんが………
そう考えると、自分が最低のことをしていると改めて実感する。
たとえ今回は大丈夫でも。
あたしだけがひどい目にあうならいいけれど、そうじゃないんだ。
…………
……………………
ファミレスの駐車場の隅に停めた卓也さんの車の中で、あたしはカンジタの説明をし、「旦那さん用」にもらった薬を差し出した。
すると卓也さんは
「う~ん、俺はいいや。もらっても塗らない」
なんて言う。
「どうして?」
「多分大丈夫だし、その薬のチューブを嫁さんに見られてもマズイし…」
あ、そっか。
「もし俺や嫁さんが痒くなっても、薬で治るんだろ?ならその時に考えるよ!」
明るくそう結論づける。
「そ、そうなの?まあ無理にとは言わないけど…」
その時、卓也さんが不意に膝に置いたあたしの手を握った。
「ねえアヤちゃん。俺、今日はこのまま直帰にするからさ、二人きりになろうよ。」
「…」
この人あたしの話、聞いてたんだろうか?
「あ。今、セックスできないのに何言ってんだって思っただろ~」
「お、思った。そういう誘いじゃないの?」
「最後までしなくていいから。熱~いキッスとか、いろいろしたくなった。…アヤちゃん見てると。」
あたし今、卓也さんとイチャイチャする気にはなれない。
さっき奥さんにうつす可能性を考えてへこみ気味だし……
それに…………
(それに…………?)
………………
