
秘密中毒
第6章 発覚
宴会も中盤にさしかかり
あたしがもう一方の隣に座った年配の社員と話し込んでるうちに、
葛西くんは「気持ち悪ぃ」と呟いて座敷を出ていった。
しばらく経っても戻ってこないので、あたしもトイレに行くついでに見てこようと席を立った。
女子トイレに続く細い通路に入ると
多目的トイレのドアにもたれた葛西くんを見つけた。
「葛西くん」
あたしが声をかけると、
「あ~水谷さん…待ってたっすよ~♪」
気持ち悪いと言ってたわりに、ゴキゲンで変なことを口走ってる。
「はぁ?気持ち悪いのは大丈―――」
突然、葛西くん身体があたしのほうに傾いてきた、
ように見えた。
あたしはとっさに支えようとした。
その瞬間、身体ごとひるがえる感覚があって。
――――――バタン!
多目的トイレの引き戸が閉まる音。
あたしはドアの内側で。
葛西くんに両腕を掴まれてる……?
『ガチャン』
彼の膝が器用に鍵をかけるのが目に入って、
初めてあたしは状況を理解した。
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