
秘密中毒
第9章 お礼
うちに泊まって看病してくれた日から1週間ぶりに
往診に来てくれた山田くんに会った日。
「…治っててよかったですね!また何かあったらおっしゃってくださいね~♪」
杉本さんがまぶしい笑顔とともに家を出た後、
山田くんが振り向き、医師の仮面を脱いであたしに言った。
「先週のお礼、決めたぞ。木曜日に仕事休むように。」
「えっ?そんなの、急に休めるかどうか…」
バタン。
……えええええ。
あたしに選択権はないのね?命令…ってこと?
(まあ、お世話になったんだからダメもとで休みを取ってみよう)
そしてあたしの仕事は簡単に休めてしまうのだった。
「アヤさんなんだから、1日ぶんぐらいすぐ取り返しちゃうでしょ?
ゆっくり休んでくださいねっ♪」
だって。
そんなわけで、あたしは木曜日まで落ち着かない日を過ごした。
あの人のご飯を作って別々に寝る生活に
前よりも大きな違和感を持ちながら。
