
秘密中毒
第9章 お礼
木曜日――――
「ぎゃ――――!! 何なのこれはっ!?」
「ってお前大げさ…」
「全然大げさじゃないよ!うわわ、何か踏んだぁ~っ」
…………
……………………
山田くんの部屋は混沌(カオス)だった。
ゴミ出しはしているみたいだけど、衣類や書類の山で床がほとんど見えない。
ローテーブルの上には雑誌やゲーム機、手帳なんかが無造作に置いてある。
あたしは狭くはないのに雑然とした部屋を見渡して、
それから隣に立っている人を見つめた。
(…この清潔感さえある外見は何なの?やっぱ仮面医師だわ。)
今日の山田くんは白衣は着ていない。
シンプルな薄手のシャツにジーパン。
均整の取れた身体に程よくフィットする服が、彼の色気を引き立てているみたいで眩しかった。
「だからさ、こないだの礼はこれ」
「ここの掃除を手伝えってことだよね……」
「違うな。手伝いじゃなくて、あやとりがやんの。」
………
「へっ?」
「俺は調べもんがあるから。よろしく」
そう言うと山田くんはサッサとパソコンの前に座ってしまった。
