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秘密中毒

第11章 虚言



金曜の夜。
某大学の水泳部のOB会。


…………

「…でね、山さん聞いてます!?」

「聞いてない」

「ええ! ひどっ……

大学時代はモテ度を競ってた僕と山さんの仲じゃないすか、ちょっと聞いてくださいよ!」


「俺のほうがモテてたけどな。で、今日は何の自慢話だよ」


「それがね、予想以上にすんごいことしてもらえちゃって。

あ、これ絶対秘密なんすけどね。
山さんは僕の会社の人妻なんか知らないし、ここだけの話ってことで…」

「何、そのすごいことって」


「酔っぱらった勢いで迫っちゃったんすよね、浮気してるでしょ~僕とも遊んで~なんつって。

したらあそこが病気だっていうんで、その時点で思いっきり拒否されてんだけど、ダメ元で言ってみたんすよ。『舐めて』って。」


「サイテーだなおい」


「それが清楚な感じなのに結構なテクニックなんすよ!

最後は思わず頭つかんで口の中に…

もうね、次の日には大反省して電話で謝って、お互い忘れるってことになったんだけど…またしてくれないかなって思ってる自分もいるんっすよねぇ…」

……

「人妻、清楚、あそこが病気……?」



「山さん?どうしたんすか?」


「その人妻の浮気って。見たのか?」

「見ましたよ、取引先だったおっさんの車でラブホのほうに行く水た…にゃっはは!やべ、名前言いかけちゃった!はは」



「葛西」


「わっ!!」

「その話、他の誰かにしゃべったらお前がジムで泳いでる時に足引っ張っておぼれさせるから。」

「ひぃ!? わ、わかりました…わかったから、苦しい、放してくださいよ~」

「それからな、あそこの病気によっては口からもうつるぞ。息子がイボイボになってきたら検査してやるから診療所に来いよ」
ニヤリ。

「うっわあマジすか!てか山さん怖いっす。目が笑ってなくて…。」


「帰る」

「あ、ちょっと!山さん!」



…………

……………………


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