何人ですか?
第1章 朝日の本音
遠くから聞こえるサイレンの音。
近くにいる猫の鳴き声。
学校帰りの子供達の声。
カラスやハトの鳥の声。
不思議な鈴の音。
全てが不思議と心地よく聞こえて
気付けばぼーっとしていた。
きっと外は夕焼け空なのだろう。
誰もいないこの場所で今日も考える。
明日もこうなのかと。
小さく歌を歌った。文句を言う人はいない。
大きく暴言を吐いた。注意する人はいない。
深呼吸をした。誰も見る人はいない。
真っ暗な場所で響き渡る自分の声に呆れ
静かに壁にもたれ意味もなく涙を流した。
静かに、音もなく。
誰にも聞こえないように。
水滴だけが床に滲みその床を見つめる。
虚しい気持ちの中、暗闇に夕焼け空の光が射し込んだ。
その時感じたんだ。
「私はまだ生きている」と。